すべりこみアウト。 3<冷たい言葉を吐いた夜> 悔いの残る言葉は けれども確かに僕の中から出て行った。 君を傷付けてどこかへと走り去る。 その後ろ姿を虚しく目で追う。 冷たい言葉は僕の中にいつも激しく息づいていて 時折荒々しく外へと放たれたがる。 冷たい言葉は口にした途端に 君と同時に僕を突き刺して 傷つくことを予感しながら僕はそれを止められない。 <距離> 近づくほどに見えるもの。 遠く離れるほどにわかること。 物事のピントが合う、丁度いい距離というものが必ずある。 その探しどころが鍵。 <眠れぬ夜> 眠れぬ夜に何を想う。 星のない雨の路。 湿った空気が胸に沁み込む。 人恋しく、誰もいない。 想い出は何も助けてくれない。 前へ進むためだけに生きるのが美徳? 立ち止まり、振り返る。 その瞬間も息づいているこの気持ちはどこへ放たれるのだろう。 <ある会話> 「これ見て!」(くるりと回る。スカートの裾広がる) 「うわぁ。きれ~い!」「心底そう思ってる風) 「そうでしょ?ほらっ」(ともう一回回る。スカートふわり) 「わぁほんとほんと!おばさんみた~い」(ほめてます) 「・・・・・・」(複雑です) <疑問は残る> どこまで行っても疑問は残る。 どこで踏ん切りをつけるかは自分の問題。 どこまででも突き進んでもいいし。 今この瞬間で終わりにしたってかまわない。 <メイビー> 僕が一体君の何を知ってるというのだろう。 知ったつもりで手にしたものはすべてが砂の粒だった。 知ったつもりで取りこぼし また君という人を見失う。 いつもそんなことのくり返し。 <ウラハラ> 心とウラハラなことを言うのは君のことにとらわれているから。 気付いてほしいときもある。 別にどうだっていいならこんな態度を取りはしない。 心そのまま伝わるなら恋なんて、なんてたやすいこと。 <おまじない> ナントカナルサ。 おまじない。 もっちろん苦しいさぁ。 くじけちゃうさぁ。 ふざけんなよ!さぁ。 てめぇなんだよこのやろう!さぁ。 俺ばっかよぉ~。さぁ。 でも。 ナントカナルサ。 ナントカナルサ。 ナントカナルサ。 で、おまじない。 <ツナガリ> 君は僕の手の届かないところに行きはしないか。 君の手は僕に伸びているか。 君の目はどこを見つめているのか。 同じ道を歩いている君の 君の足先が気がかり。 <転> それは止めません。 それは止まりません。 それはどんどん転がり落ちて止まることを知りません。 それは止まりようがないので。 そしてそれは行き着くところへ行き着くまで。 とても丸くてすべすべとしていて。 それは止めようがないのです。 <結> 今やるべきことに心血を注ぐ。 明日やるべきことから目を逸らさない。 その次またその次へと俊敏に心を移す。 何ひとつ変えずに何もかもを変えていく。 最後の最後にただ一つのことだけをやり遂げるために。 何ひとつ見ずに何もかもを見極める。 最後の最後でただ一つのことと向き合うために。 |